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そろばんにおける九九

2025/01/18
九九

小学校で九九を覚える際は、掛け算に対する理解と同時に教わることでしょう。にさんが6なら、2を3回足しても6になる。覚えられないなら2を3回足してもいいし、なんならよく導けたと褒めてもらえるかもしれません。そういう学問的な要素は小学校におまかせします。大切なことですので、小学校の授業もきちんと聞いてください。

さて、そろばんではどうでしょうか。そろばんにおける九九は『基礎中の基礎』という位置づけで、自由自在に暗唱できるようにしておくべきものです。足し算を使って導いていては遅くてダメとなります。

そろばんを習ってない人の100倍以上の回数は九九を唱えることになると思います。唱えるだけでなく位置をずらして足したり引いたりして、アウトプット能力に磨きをかけていきます。ですので、九九が出来ていないとその先の練習の質がガクンと落ちてしまうのです。いまいちそろばんの進みが悪いと感じている方の半数以上は、九九があやふやな状態を放置しているのが原因でしょう。

このページでは『そろばんにおける九九』がどのようなものかを、覚え方を含めてもう少し詳しく解説してみます。


そろばんにおける九九
その①
九九を81個分覚えます。

6×8=48を覚えておけば、8×6=48を覚えなくても導き出せます。答えが同じですから。しかしそろばんにおいては、この逆向きに言い直す一瞬が命取りなのです。

塵も積もれば山となります。上記の通り、九九をアウトプットする回数が果てしなく多いのです。九九を81個覚えていないことは、山どころではないほどの無駄を生んでしまいます。ですので81個分をすべて『出た問題の順番のままに』言えるようになることが求められます。

またこれは少し専門的な内容なのですが、逆向きに言い直した際にそのまま別の段の九九を言い続けてしまう事例が出てきます。高速で計算していますから、自分の知らぬ間に違う作業に入ってしまうことがあるのです。完全に81個覚えておけば、スピードを上げられるだけでなく、正確性まで上げることができるのです。


そろばんにおける九九
その②
足し引きのマスターを待たずに覚え始めます。

小学校ではまず足し算を教えます。それが10以上に繰り上がって、掛け算の概念を教えて、それから九九を覚える段階に進みます。

そろばんではどうでしょうか。10以上に繰り上がる計算を始める頃には九九を覚え始めます。掛け算という計算を今後習っていくけれども、そのための準備をしておくよという位置づけです。

9級の練習(掛け算導入時)になって九九を覚えてないとなると、九九の答えを思い出す(もしくは表から探し出す)作業に力を割きすぎてしまいます。その結果、掛け算の運指方法が頭に入らなくなります。九九を覚えておけば、掛け算の答えをそろばんのどの位置に置くかだけに注力することが出来るのです。

また早い段階で九九をスタートさせておけば、時間(長期間)を費やして覚えられます。8の段ぐらいまで進んだら、それまでの1~7の段を忘れているなんてことはよくあることですし、予定通りに進みません。そのための時間的余裕が取れますので、焦らないで済みます。

あと、進みの早い生徒だからといって、九九を覚えるのが得意とは限りません。覚えるのは全く別の能力と捉えて下さい。逆に進みが早いぶん9級に入るまでの期間が短いので、九九を覚えられないまま達してしまう危険が高いとも言えます。ぜひ知っておいて下さい。


そろばんにおける九九
その③
九九を高速で暗唱させます。

例えば、ろくろくさんじゅうろく、ろくしち……?となったとき。「6ずつ増えるから6を足せば良い」と教えてはいけません。この意味を教えないというのがポイントなのです。意味的なことは小学校で習うときに理解できればよいと考えています。すでに覚え終わっていると、解説を理解することに集中できるはずです。

ではどう教えるか。これが一番知ってほしいポイントなので必ず抑えてください。

「九九は早口言葉の仲間です」
早く言えると楽しいもの、かっこいいものだ教えます。

なまむぎ なまごめ なまたまご。
あおまきがみ あかまきがみ きまきがみ。

意味を知ってるとか知ってないとかではなく、ただただ早く言えるか。早く言うことを楽しんでいれば、セリフは覚えてしまいます。

まずは表を見ながら(目からの情報も大切)10秒ぐらいを目指して早口にチャレンジしてください。それくらい早く言い終えることができれば、九九の表を見ずとも15秒以内で言えつつあるでしょう。

ご家庭でも九九の暗唱をお手伝いいただきたいのですが、ぜひ早口言葉のように取り組んでください。上から順番だけでなく、下から逆順でも15秒で言うことができる状況を目指してください。



最後に当教室での九九の扱いについて書きます。

上記の内容に加えて、逆向き15秒暗唱テストの後、横向き往復30秒暗唱テストを行っています。

また、高速で九九を『書く』3分九九キングという教材も取り入れています。見る・言う(聞く)・書くの三要素で、覚えると同時に、忘れさせないようにしております。



そろばんにおける九九の特徴について、ご理解いただけたましたでしょうか。

そろばんの上達が遅い場合に、九九が原因になっていることがあります。ここまで読んでいただいた方なら、その理由もわかっていただけるでしょう。そういう理解をしていただけるようになれば、この文章を書いて良かったなあと思えます。

ですので、皆さんが通われているそろばん教室が九九に力を入れているようであれば、かなり親切丁寧な指導をされていると思ってください。もっと専門的な練習に時間を割いてほしいという場合は、九九の練習をご家庭で済ませるのが理想的です。費用対効果が高くなります。


まとめ
・九九は大切
・早口言葉のように言う
・ご家庭でも聞いてあげて欲しい
・掛け算導入時までを目安に仕上げる


おまけ